快適で豊かな生活のため、私たちの身のまわりではさまざまな化学物質が利用されています。これらの化学物質が環境を経由して、人や動植物の生息又は生育に悪い影響を及ぼす可能性を、化学物質の環境リスクといいます。環境リスクの大きさは、化学物質の有害性の程度と体へ取り込む量(ばく露量)の兼ね合い(積)で決まります。
化学物質の環境リスク = 有害性の程度 × ばく露量
化学物質を適正に管理し、その環境リスクを効果的・効率的に削減するためには、市民・消費者、事業者、国や地方公共団体(行政)等の関係者すべてが、環境リスクなどの化学物質に関する情報を共有し、相互理解を図ることが大切です。そのための対話や意見交換をリスクコミュニケーションといいます。 近年におけるリスクコミュニケーションは、意見交換の対象を化学物質のリスク以外にも拡大して、「環境コミュニケーション」や「地域コミュニケーション」などの名称で開催されるケースが増えています。
これまで国、地方公共団体、事業者等と連携してリスクコミュニケーションを実施してきた豊富な経験をもとに、主催者や参加者の目的・ご要望にできるだけ応じるとともに、各地域や事業者の実情に配慮したリスクコミュニケーションのための意見交換会の開催を支援します。
リスクコミュニケーションは、一方的な情報提供ではなく、双方向からの対話が必要です。参加者の議論がきちんとかみ合い、活発な意見交換から相互理解ができるよう、必要に応じて中立的な立場の進行役(ファシリテーター)や解説役(インタープリター)をご紹介します。
リスクコミュニケーションを企画する段階から参画し、目的や目指すポイントを明確にします。その達成を目指して、以下の支援や各種情報提供を含めたアドバイスを行います。
地方公共団体によるモデル事業や、さまざまな業種・規模の事業者主催のリスクコミュニケーション等を支援した実績があります。
「化学物質アドバイザー」とは、化学物質に関する専門知識を持ち、的確に説明する能力等を有する人材として、一定の審査を経て登録されている方々です。市民や行政、事業者のいずれにも偏らない中立的な立場で、化学物質に関する客観的な情報提供やアドバイスを行います。環境省では、リスクコミュニケーションの場に同席して、化学物質に関する皆様の疑問に答えたり、各種セミナーや講演会の講師を務めて情報を提供する「化学物質アドバイザー」派遣事業を行っています。
化学物質アドバイザー
PRTR制度の趣旨を理解し、率先して化学物質管理を行うとともに、その実施状況に関して積極的に地域社会とコミュニケーションを行う事業者や化学物質による地域の環境リスク低減に向けた特徴的な取り組みをしている市民団体や自治体を表彰しました。また、化学物質管理及びリスクコミュニケーションの実践に関する情報を公開し、事業者の取り組みを促進するとともに、市民参加の手法について広く情報交換することを目的としたシンポジウムの開催などを通じ、リスクコミュニケーションの推進に貢献しました。
PRTR大賞―公開シンポジウム
一般社団法人環境情報科学センター 調査研究室
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