「暑熱適応のまちづくり研究会(涼まち研)」設立主旨
産学官連携で、社会のニーズと科学的な知見を踏まえて活動しています。
効果的な暑さ対策を開発し、定量的に効果を検証しています。
イベントや展示会等に参加し、涼しいまちづくりの普及に努めています。
地球温暖化や都市のヒートアイランド現象によって、夏季には都市で生活する人々への暑熱ストレスが厳しさを増している。その結果、熱中症が多発し、夜の寝苦しさが増すなど、まちなかの暑熱を快適性の問題としてだけでなく、人の健康影響という視点でも捉える必要がでてきている。また、体温調節機能が衰える高齢者の増加や、さらには東京オリンピックが盛夏に開催されるなど、今後、まちづくりにおいても暑熱適応の視点が求められる。
地球温暖化による気温上昇は今後も不可避的に一定程度進むことが見込まれ、都市の暑熱環境はますます厳しくなる一方、ヒートアイランド現象の緩和、すなわち上昇した都市の気温を下げることは、短期的には難しい。しかし、人が感じる暑さは気温だけではなく、放射熱や風、また着衣の量など、複数の要素が影響する。とすれば、直ちに都市全体の気温を下げることは難しくても、局所的に放射熱を低減したり風通しを確保することなどにより、まちなかの体感温度を下げることができる。
このような状況のなか、木かげの形成といった従来からの暑熱環境緩和の手法だけでなく、建材等の保水技術、日射反射技術、効果的な日射遮蔽技術、ミストの活用技術などの新しい暑熱適応の技術が見られるようになっている。しかし、一般的には、体感温度で表わされる効果に対する理解は進んでおらず、また技術を提供する側についても適切な効果のPR方法が定まっておらず、暑熱適応に向けた理解や取組みが適切に進まないことが危惧される。
今後、暑熱適応を社会の合意のもとに適切に進めていくには、
- 技術の効果を適切に評価し、分かりやすく伝える手法を明らかにすること
- 導入する場所の自然的・社会的条件に応じて、最適な技術を選定、運用できるよう、暑熱適応技術の体系的かつ科学的な知見を充実すること
- 関連技術を有する企業等の連携を促進し、最適な技術の組み合わせや、多様な導入方法を提案していくこと
- 暑熱に適応したまちづくりの必要性や将来像を社会に提案していくこと
などが必要になる。
本研究会では、上記の趣旨のもと、関連する企業や団体、まちづくりの担い手、有識者等の産官学が連携し、できるだけ具体的な課題等を対象として、実験、設計、設備導入、検証等を行い、効果的な適応策の導入を提案していくものである。