[pp.139-144]
川島 康子 (国立環境研究所)
要旨:
地球温暖化問題は,いくつかの根本的な国家間対立が解決を困難にしていると考えられる。本研究では,気候変動枠組条約交渉で議論となった対立点を抽出し,因子分析を用いてその対立点から国家間のより根本的な対立構造の解明を試みた。その結果,対立の多くは,途上国の経済発展の権利とそのための支援,温暖化に対する先進国の責任,対策コスト,科学的不確実性等に関する対立によって説明された。さらに,国の態度を「途上国の権利」と「先進国の責任」で分類すると,米国,その他の先進国,島嶼諸国,サウジアラビア等中東諸国,中国やインド,ブラジルや韓国が各々異なったスタンスで交渉に臨んでいたことか導出された。
キーワード:
気候変動枠組条約,交渉過程,国家間対立,因子分析