[pp.115-120]
小林 久,山ロ 絵美,千賀裕太郎 (東京農工大学)
要旨:
農村地域から排出する廃物のうち,農地還元などによって再資源化が可能な有機性廃物の処理に関して,処理利用の体系化,費目と内容の整理,モデル地域における事例的な経済分析を試みた。事業期間を15年間とすると,環境負荷を考慮した場合では,焼却などの処分的な処理の方が堆肥を生産する再資源化処埋よりも25~35億円高くなり,環境負荷を考慮しない場合では,逆に処分的処理の方が30~45億円安くなった。また,同条件で有機性廃物について,焼却などの処分的処理とコンポス化による再資源化処理の最適な量的割合に関する経済分析を行った。その結果,有機性廃物の処理に係わる自治体の経済的損失は,生ごみ・汚泥を含む有機性廃物の全量をコンポスト化するときに最小となることを確認した。
キーワード:
経済分析,農廃棄物リサイクル,物質循環機能,地域農業システム,持続的農業,コンポスト化