[pp.243-246]
久保田 泉 ((独)国立環境研究所 社会環境システム研究センター)
要旨:
気候変動影響への適応策に関する国際制度設計において,途上国への資金供与問題が注目されている。本研究では,適応関連資金配分の優先順位づけをいかに行うかについての示唆を得るため,京都議定書下の適応基金と「気候変動影響への対応力強化のためのパイロット・プログラム」(PPCR)の運用状況を,対象国/プロジェクトの選定に着目して比較検討した。その結果,適応基金の被支援プロジェクトのホスト国は,脆弱国への支援が謳われているにもかかわらず,各種指標で脆弱国リストの上位に入っていない国が多いことがわかった。今後の適応関連資金メカニズムには,脆弱性に着目したPPCR類似の資金配分方法を確保することが重要である。
キーワード:
気候変動,適応策,脆弱性,資金メカニズム,適応基金,気候変動影響への対応力強化のためのパイロット・プログラム