[pp.227-232]
渡邊 一仁 (宮城県水産技術総合センター)
要旨:
本研究では,東日本大震災の津波による閖上地区のアカガイ漁業への影響把握を目的として,漁業基盤の現状,アカガイ資源の解析,および放射性物質の検出状況を整理した。漁業基盤では,漁船隻数を中心に緩やかな回復が期待された。また,アカガイ資源は分布密度や殻長組成の推移から増大していると判断された。放射性物質の検出状況についても,アカガイは基準値以下であり,アカガイ魚業の継続は十分可能であると考えられた。今後,漁獲物サイズを大型化する等の実施により,持続性を担保したアカガイ漁業の復興が期待される。
キーワード:
東日本大震災,閖上地区,漁業,アカガイ,分布密度,放射能