[pp.169-174]
山本 清龍 (岩手大学)
要旨:
わが国において最高峰を誇る富士山を事例として取り上げ,①登山者の登頂断念の経緯と急性高山病(AMS)の症状を明らかにすること,②登山者の属性と登頂断念およびAMS症状との関係性を明らかにし,事故リスクを低減するために有効な管理方策について考察すること,の二点を研究目的とした。研究の結果,33人の登頂断念の理由はAMSに関する事由が約半数を占めた。また,レイク・ルイーズの指標を用いてAMS症状を把握した結果,49%で軽度(2点以上)のAMS症状があり,登頂断念者でAMS症状が強かった。さらに,宿泊者やガイド同行の登山形態で登頂率が高いことなどが明らかとなった。
キーワード:
富士山,登頂率,急性高山病,リスク管理,宿泊