[pp.55-60]
中村 中・櫻井 一宏・小林 慎太郎・丹治 肇 (東京大学/立正大学/国際農林水産業研究センター/農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所)
要旨:
農業水利サービスは農業生産において重要な位置付けにあり,我が国では稲作を主な対象として公共インフラ的な水供給システムの整備が進められてきた。農業従事者は水需要者として必要量を一定の費用負担により農業用水を利用するが,その負担額の決定をはじめ基本的な水管理を供給者が主導的に行う,いわば供給者主導型の水供給システムが伝統的に構築されてきた。本研究では,需要者である農家が彼ら自身の経営方針や意向を反映させた水供給システムのあり方について検討することを目的として,対象地域における農家の現状を調査し定量化したデータをもとにしてモデルの構築を行い,多様な営農形態を反映した水利サービス政策を仮定したシミュレーション分析を行った。
キーワード:
農業用水管理,稲作,需要主導型システム