[pp.37-42]
大石 太郎・大石 卓史 (福岡工業大学/日本大学)
要旨:
本研究では、因子分析および共分散構造分析を用いて生物多様性向上農産物に対する日本の消費者の認知構造を分析した。分析結果から、生物多様性向上農産物は日本の消費者にとって、心理的福祉に関する価値、食材に関する価値、環境保全に関する価値の3つの価値を有することが明らかとなった。また性別、年齢、所得、地域といった人口統計学的属性がそれらの3つの価値に影響を与えていることが示された。さらに心理的福祉に関する価値は、消費者の生物多様性向上農産物に対する行動意向につながる重要な要素であることが示された。そのため、日本において生物多様性向上農産物を普及していく上で、心理的福祉に関する価値を強調するようなマーケティングアプローチが効果的なアプローチになると考えられる。
キーワード:
生物多様性向上農産物, 認知構造, 因子分析, 共分散構造分析