[pp.17-20]
黒田 貴綱 ・勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
希少な湿生植物であり保全のための知見が乏しいミズニラについて,圃場と自生地それぞれで本種の生育に関する基礎的な実験を行った。圃場実験の結果,人為的な管理下で本種を良好な状態で維持するためには,夏期において湿潤状態を保ち,30%以上の遮光を行うことが必要と考えられた。自生地実験では,競合種からの影響を低減するための除草管理の必要性が示され,夏期に1回程度の管理でミズニラの生育を保つことが可能と推察された。これらの事例を積み重ねていくことで,本種の保全策や生育地の整備手法の確立に繋がっていくものと考えられた。
キーワード:
ミズニラ,湿生植物,ミティゲーション,光条件,水分条件