[pp.375-380]
桑原 祐史,横木 裕宗 (茨城大学)
要旨:
IPCC 第4次報告書によると,現状の温室効果ガス排出量が継続された場合,最悪のシナリオとして59cmの海面上昇が起こることが予測されている。このような中,国土の最大標高が5m 程度の南太平洋島嶼国ツバルでは,気候変動に伴う長期的な影響として指摘されている海面上昇に伴い,沿岸部や低地の水災害の増加が危惧されている。そこで,本研究では,同じ環礁州島であるマーシャル諸島共和国を対象として行った沿岸部土地被覆調査の方法を応用し,ツバル国沿岸部の被覆特性を侵食に対する強さに着目して整理した。その結果,将来の侵食対策の1つとして,被覆特性に応じた海岸植生の植林が有効と考えられた。さらに,この点について人為の影響が少ない環境で生育している典型的な海岸植生の分布特性を調査・整理した。
キーワード:
地球温暖化,海面上昇,海岸植生,土地被覆分析,水準測量