[pp.357-362]
林 秀明,村上 和仁 (千葉工業大学)
要旨:
バイオマニピュレーションは生態工学を活用した環境修復手法の一つとして近年注目されているが,生物利用に伴う外来種による生態系の侵略,既存の生態系の崩壊という生態学的リスクが指摘されている。水圏生態系におけるこれらのリスク評価を行うため,高い再現性と系の安定性が特徴であるマイクロコズムを用いて個体数変動とP/R 比から,マイクロコズム内において食物連鎖の上位に位置する生物種の導入が生態系に及ぼす影響を解析検討した。その結果,最上位捕食者であるAeolosoma hemprichi を導入した場合に生態機能を破壊することなく植物プランクトンの減少が確認された。このことから最上位捕食者の導入がバイオマニピュレーションに有効であると示唆された。
キーワード:
マイクロコズム,P/R 比,バイオマニピュレーション,生態系影響評価