[pp.351-356]
黒田 貴綱,小島 仁志,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
富士山西麓草原において,野焼き管理と野生ネズミ類の基礎的な生息状況についての対応関係を把握し,今後解析すべき環境条件や草原の管理方法について考察した。調査地を管理履歴の違いにより区分し,各調査区におけるネズミ類の種構成とその生息基盤となる植物について調査を行った。その結果,野焼き管理の実施の有無とその履歴の違いによって,各調査区における植物の種構成が異なる可能性が示唆された。そしてそれぞれの植生に応じてネズミ類の生息種がある程度規定されていることが推察された。ネズミ類の生息地としての草原景観を保全維持するために,継続的な野焼き管理の実施と長期的なモニタリング調査が必要と考えられた。
キーワード:
草原,野焼き,ネズミ類,富士山西麓