[pp.249-254]
高井 亨 (鳥取環境大学)
要旨:
本稿では47都道府県を対象としてシフト・シェア分析を用いた一人当たりCO2排出量の分析を行った。その結果,全国要因が7.6%であり,構造要因,地域要因の両方またはいずれかがマイナスとならなければ一人当たりCO2排出量は増加することとなる。また,構造要因については鉄鋼・非鉄・窯業土石部門に特化している都道府県ほど一人当たり削減率が大きくなり,建設・鉱業部門,民生各部門,乗用車部門に特化している都道府県ほど一人当たり増加率が大きくなっていた。地域要因については,辺縁部における一人当たりの経済成長が地域要因を押し上げる要因となる一方で,中心部における経済縮小が地域要因を押し下げる要因となり,「中心部」対「辺縁部」という地域要因の差異の構図をもたらす一因となったことが示唆された。
キーワード:
シフト・シェア分析,要因分解,特化係数,二酸化炭素排出量