[pp.171-176]
福島 慎太郎,堤田 成政,西前 出,小林 愼太郎 (京都大学)
要旨:
本研究は,モランのI 統計量を用いて,1)結合型のコミュニティ信頼と橋渡し型の一般的信頼には,隣接集落間で範域としての境界の明瞭性や曖昧性は検出されるか,2)これら2 つの形態の信頼の境界の明瞭性や曖昧性を生み出す関連因子は何か,という2 つの課題に対して検証を行うことを目的とした。分析で用いたデータは,2006 年に京都府北部の3 自治体の全農村地域に実施した質問紙調査で得られた。分析の結果,1)コミュニティ信頼においては隣接集落間における信頼水準の境界の曖昧性が確認された一方で,一般的信頼においては境界の明瞭性や曖昧性が検証されなかった。2)コミュニティ信頼の境界の曖昧性と関連を有しているのは「世帯密度」「居住年数」「世帯人数」であった。3)コミュニティ信頼と一般的信頼の隣接集落間の境界の曖昧性や連続性は相互に関連していた。
キーワード:
ソーシャル・キャピタル,空間的自己相関,一般的信頼,コミュニティ信頼