[pp.91-96]
村山 武彦,武藤 志保 (東京工業大学,川崎市総務局)
要旨:
これまで,国としての化学物質管理に関する制度や方針などについては様々な検討がなされてきたが,地方自治体の取組・意識・課題などは十分に明らかにされているとはいえない。本研究では,質問紙調査により,地方自治体の化学物質管理や事業者・市民とのコミュニケーションの実態を明らかにし,化学物質管理を行うにあたっての今後のあり方について検討した。その結果,リスク管理の意識は全体として低く,情報提供すら行っていないもしくは情報提供で留まっている自治体が多いことが明らかになった。課題として,職員の知識の不足や必要性の認識など行政側の問題があげられた。一方で,規模の小さな自治体においてもリスク管理に意欲的に取り組んでいる自治体があり,コミュニケーションにおいては様々な工夫が行われていることが明らかになった。
キーワード:
化学物質管理,環境リスク,コミュニケーション,地方自治体