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島田 幸司 (立命館大学)
要旨:
日本の交通部門の地球温暖化対策は,京都議定書第一約束期間の目標達成の観点から喫緊の課題であるが,この部門でのガソリン需要,価格,所得の関係についての研究蓄積は限定的である。そこで本研究では,日本の地域特性を考慮した10地域圏のパネルデータを用いて,変数の定常性や共和分関係にも配慮しながらベクトル誤差修正モデルによるGranger因果性の分析を実施した。その結果,ガソリン消費と価格の間には双方向に負の因果性があり,ガソリン価格と所得の間には双方向に正と負の因果性が認められた。また,ガソリン消費から所得に対しては一方向に正の因果性が示された。
キーワード:
ガソリン需要,パネルデータ,共和分,ベクトル誤差修正モデル,グランジャー因果性