[pp.461-464]
坪井 塑太郎 (日本大学)
要旨:
本研究では,慢性的な水不足問題が懸念されている中国北京市を対象に,市民の水問題に対する意識や生活用水の利用行動について,街頭でのインタビューによるアンケート調査に基づいて実態の把握と課題の検討を行った。本調査の結果,水不足解消のための大規模な土木工事「南水北調」完成後の将来も,継続して水不足の懸念があることが示されたが,近年では市政府による節水を呼び掛ける啓発看板の街頭設置や,市民自身の積極的な節水への取り組みが行われていることも示された。また行政による節水施策として給水制限の実施や上水道価格の大幅な値上げも行われているが,これらの実施の重要性には市民の一定の理解がみられたものの,生活用水量の削減には必ずしも直結していない現状が明らかになった。
キーワード:
水道水,生活用水利用行動,節水,南水北調,北京