[pp.425-430]
松本 文子,瀬戸 寿一 (日本学術振興会)
要旨:
本研究では,約5年にわたる大規模調査である京町家調査によって収集されたデータから構築されたGIS データベースを用いて,京町家に関する変数を作成し,滅失に影響を与える要因を分析した。結果として,奥行き,建物状態,町家状態,空き家か否か,近傍の京町家率,近傍京町家の空き家率が有意に影響することが示された。これにより,個々の町家の状態維持とともに,地域的な維持の取り組みが重要であることが示された。また,伝統産業を支える業種である工場業や卸売業との関わりは低く,飲食業との新しい結び付きが滅失を防ぐことも示唆された。
キーワード:
京町家,まちづくり,GIS