[pp.299-304]
今村清敏,ロイ キンシュック ((株)日比谷アメニス,日本大学)
要旨:
乾燥地における壺かんがいの適応性の研究において,壺自体の物理的特性がかんがい能力にどの程度の影響を及ぼすかについての研究は少ない。本研究では,大きさの異なる3 種類の壺を使用し,乾燥地土壌における浸潤状況を土壌体積含水率の実測値から経時的に求めた。全ての壺において,透水係数は同等値(約7×10-11ms-1)を示したが,1日当たりの流出水量は壺の大きさによって約1.6×10-4~6.0×10-4 m3の範囲内で変動することがわかった。さらに,各種壺の物理的特性を考慮した土壌体積含水率の推算値をHYDRUS-2Dを利用して算出した。実測値と推算値を比較した結果,高い相関(R2=0.86)が得られ,壺かんがいは乾燥地土壌における植物栽培に適していることが水理学的に証明できた。
キーワード:
壺かんがい,乾燥地土壌,浸潤,土壌体積含水率,HYDRUS-2D