[pp.245-250]
齋藤 和彦 ((独)森林総合研究所,北海道大学大学院農学院環境資源学専攻)
要旨:
希少な野生生物の宝庫である沖縄県国頭村の林齢分布を森林簿データで分析した。森林簿の林齢分布は対応する林班図の小班番号が欠落し,表示できなくなっていたが,今回修正して表示可能にした。分析の結果,戦前更新の高齢林分は脊梁山脈とその東側に分布したが,1972 年の本土復帰後,一部で伐採が進んでいた。また,既知の1950 年代に加え,1920 年代半ば~30 年代に更新のピークが現れた。当地の森林の大部分は人手が入っており,人為の影響が少ない林分は保護が必要である。一方,人手の入った領域では過去の人為の影響評価と野生生物に配慮した施業研究が必要である。人為の記録である森林簿は今後も重要な役割を果たすと考える。
キーワード:
沖縄,国頭,やんばる,林齢,GIS,森林簿