[pp.221-226]
村上 和仁,林 秀明 (千葉工業大学)
要旨:
成因・種構成の異なる3種のマイクロコズムを用いて,構造面と機能面から生態系機能の比較評価および生態系リスク評価試験法としての有効性の検討をおこなった。その結果,1)Naturally derived 型マイクロコズムでは,系の転移が連続的に生じ,生態系構造が安定しないこと,2) Stress selected 型マイクロコズムでは,P/R比が安定せず,生態系機能が安定的に維持されないこと,3) Gnotobiotic型マイクロコズムでは,機能パラメータ(P/R比)および構造パラメータ(生物相)のいずれにおいてもきわめて高い再現性を示し,標準モデルとしての必要条件を備えているものと考えらえることが示された。これらのことより,Gnotobiotic型マイクロコズムは,移入種問題や汚染物質を対象とした生態系機能に着目した生態系リスク評価を行う上でのツールとして有効であると考えられた。
キーワード:
マイクロコズム,標準モデル,P/R比,生物相,生態リスク評価