[pp.435-440]
平野 勇二郎,濱野 裕之,田上 浩孝,藤田 壮 ((独)国立環境研究所,(独)科学技術振興機構,(独)日本原子力研究開発機構)
要旨:
本研究では夏季の都市キャノピー内の温熱環境の実態を解明することを目的とし,川崎市において行われた都市街区内の気象観測データを解析した。本研究の結果,都市キャノピー内ではオープンスペースと比較し,とくに晴天時に街区内の気温のばらつきが大きいことなどが示された。また,この街区内の気温のばらつきの要因は,建物による日影の影響が大きいことを示唆する結果が得られた。これまでの多くの都市気候研究はオープンスペースにおいて取得した気象データが用いられてきたが,都市熱環境改善などの社会要請に応えるためには都市キャノピーの効果を含めた評価が重要であることが本研究により示された。
キーワード:
都市キャノピー,都市熱環境,微気候解析,気象観測,天空率