[pp.387-392]
小林 慎太郎,古家 淳 ((独)国際農林水産業研究センター)
要旨:
バングラデシュの長期的な食料安全保障のためには,コメの収量成長率をどの水準で保つ必要があるかについて,温暖化の影響も考慮しつつ,食料需給モデルを用いて検討する。21世紀中の気温上昇を2.6°Cとするシナリオでは,先行研究で示された乾期作2%,雨期作1%の収量成長率で,少なくとも現在の食料状態が保たれるが,3.4°Cのシナリオの場合は食料状態が悪化することが明らかとなった。今後は,長期的な視点から高い収量成長を保つ方策の検討が重要になる。
キーワード:
バングラデシュ,食料需給,食料安全保障,気候変動