[pp.285-290]
耿 欣,高 若飛,章 俊華 (千葉大学)
要旨:
本研究では,中国・燕京八景について,調査資料に基づき,燕京八景の各風景と8つのまとまりとしての見方がどのように変遷してきたかを分析し,その特徴の考察を行った。その結果,燕京八景は成立,発展,繁栄,衰退,再建の変遷課程を経てきたことがわかった。変遷では首都としての北京において,少数民族であった支配者が漢文化に傾倒し,王朝の交代と戦争を経て,遺跡と伝統文化の保全及び環境意識の変化と密接な関係を持ちながら変化したことがわかった。徐々に多様化してきた風景表現が燕京八景の存続に重要な役割を果たしたことがわかった。体験者,認識者及び風景の性格の変遷からは,最初の燕京八景は支配者階級が見出した風景文化であったものが,後には一般の庶民が体験,理解できるものになったことがわかった。
キーワード:
北京,燕京八景,変遷,特徴