[pp.189-194]
栗林 美紀,亀山 康子 (東京大学,(独)国立環境研究所)
要旨:
企業における環境管理活動及び社員の雇用制度が企業の経営に及ぼす影響の有無,また影響がある場合には影響が及ぶ方向性を明らかにすることを目的として,一般機械器具製造業51社のデータで共分散構造分析を用いて分析した。その結果,環境報告書,環境会計などの環境情報の早期からの開示や充実した雇用制度の提供が,企業価値に対してプラスの因果関係を持つことが示された。また,この定量的な結果を定性的に説明するために,上記分析の対象企業の一部にインタビュー調査を実施した結果,環境会計まで取り組んでいる企業は,環境情報や雇用制度に関する情報の公開が,市場に評価されることを意識して取り組んでいることが分かった。
キーワード:
環境報告書,環境会計,雇用制度,企業価値,情報公開