[pp.167-172]
松村 隆,武田 雄志 (芝浦工業大学)
要旨:
水質事故情報の都道府県による公表状況を調査するとともに,今後の情報整備の方向性を検討した。47都道府県のうち74%の35自治体で水質事故に係る何らかの情報が公表されていた。しかし内容は限定的で,35自治体のうち4自治体では法制度の解説など概括的な情報に止まっており,残りの自治体でも地域住民に対する潜在的な環境リスク情報の公表が少なかった。水質汚濁防止法に基づく事故時の措置に関する届出数データと今回取りまとめた水質事故件数を比較すると,届出数の約3~70倍の水質事故が報告されており,工場事故の場合と同様に,利水被害などにつながる重大事故の背後に多数のヒヤリハット事例が存在していることが推測された。
キーワード:
水質事故,環境白書,環境リスク情報,情報システム整備,ヒヤリハット