[pp.83-86]
徳江 義宏,大澤 啓志 (日本工営(株)中央研究所,日本大学)
要旨:
都市近郊域の都市化によって孤立化した公園・保全緑地の樹林地を対象として,クロマドボタル幼虫の生息状況の把握と,地形や樹林地の規模等の環境条件の関係について検討した。鶴見川流域内で29地点の樹林地を調査した結果,6地点の樹林地において生息が確認された。生息の確認があったのは全て谷戸地形を有する樹林地であり,確認の有無と樹林地面積の関係をみると,最小8.7haの規模の樹林地から生息が確認された。またロジスティック回帰分析から,本種の安定的に生息に適した規模の樹林地の面積を予測した。本種の保存においては,谷戸地形と一定規模の樹林地を有する拠点的な緑地の保全が重要であることが示唆された。
キーワード:
クロマドボタル,幼虫,谷戸,流域,樹林地,孤立化