[pp.77-82]
岸岡 智也,橋本 禅,星野 敏,九鬼 康彰 (京都大学)
要旨:
近年,人間と野生動物の間の軋轢から生じる問題への国民的関心が高まる中で,鳥獣害対策に関する合意形成の重要性が高まっている。本研究では,野生動物被害対策において,野生動物の生息域からの距離による住民意識の空間分布に注目し,生息域からの距離と住民意識の関係について考察を行った。その結果,野生動物に関する知識や駆除への意識は,野生動物の生息域からの距離という空間的要素に従った傾向を示し,これらの傾向は獣種によっても変化することがわかった。鳥獣害対策に関する合意形成を進めるための普及啓発にはメディアの果たす役割が重要であると考えられたが,必要とされる情報の種類は多岐にわたることも示唆された。
キーワード:
鳥獣害,空間分布,住民意識,普及啓発