[pp.435-440]
村上 和仁,石井 俊夫,瀧 和夫 (千葉工業大学)
要旨:
蓮沼海浜公園ボート池において実施された天日干しによる底泥改善の効果について検討した。その結果,1) 天日干し実施前における植物プランクトンの優占種は,主にAulacoseira italica,Melosira variansを中心とする珪藻類で,初夏にはM.varians,晩夏にはAnabaena affinisによる水の華が形成されており,水質は富栄養状態であったこと,2) 天日干し実施後の1 年目には,夏季の藍藻類の個体数は減少し,大規模なアオコ形成はみられず,水質は中栄養レベルになったこと,3) 天日干し実施後の2年目以降は,初夏Anabaena spiroides,晩夏にMicrocystis aeruginosaによる二段階アオコ,さらに冬季にはCryptomonas spp.による淡水赤潮も観察されるようになり,水質は再び富栄養化したこと,が明らかとなり,したがって,4) 蓮沼海浜公園ボート池では,天日干しによる急激な環境変動の結果,処理前よりも水質汚濁が進行する「揺り戻し現象」が生じているものと考えられた。
キーワード:
海浜公園池,富栄養化,天日干し,底泥改善,揺り戻し現象,アオコ