[pp.361-366]
原田 充啓 (任天堂(株))
要旨:
従来の仮想トラベルコスト法では,オンサイトサンプリングデータを分析に用いることができなかった。しかし,これが可能になれば標本収集コストの削減や便益の影響する地理的範囲を限定しない評価が達成できる。そこで本稿では,環境質の悪化が明らかな場合のみではあるが,これを達成し得る手法を開発した。オンサイトデータの持つ問題点であるデータの切断を尤度関数の場合分けで,内生的層化を訪問回数で尤度関数を重みづけることで解決している。また実際のアンケート調査に適用することで,この新たな手法でバイアスを適切に取り除くと,従来のモデルと比べ評価結果が大きく変化することも明らかにした。
キーワード:
仮想トラベルコスト,オンサイトサンプリングデータ,環境評価,放牧