[pp.327-332]
家村 直宏,平田 富士男 (京都市役所,兵庫県立淡路景観園芸学校)
要旨:
わが国を代表する景観である古都の田園景観を保全するため,古都保存法により必要な農地を自治体が買い入れたうえで,地元の農家がその農地管理を行う仕組みがとられている。しかし,それらの農地管理の実態は農家の意識によって異なり,景観もそれに影響される。そこで,本研究では田園景観を維持するための管理のあり方を考えるために,各買い入れ地の景観評価と農家へのアンケートから,管理者の属性と管理に対する意識を把握し,各買い入れ地の景観との関係性を明らかにすることを試みた。その結果,景観評価の高い農地の管理者は持続的な管理を行うことが困難なため,それに代わり景観評価の低い農地の管理者が管理を行い,生産性重視の農地利用が進むことで,今後北嵯峨地区の景観が生産性重視の影響を受けたものに変化していくことが予想された。
キーワード:
農地景観,買い入れ農地,古都保存法