[pp.185-190]
高橋 進 (共栄大学)
要旨:
本研究では,客観的な指標により国際的な自然保護政策,特に生物多様性政策への変遷と転換点を明らかにするとともに,その背景要因を分析した。60年間の国際自然保護連合(IUCN)総会決議の指標用語を分析した結果,国際的な自然保護政策の変遷は7期に区分された。それぞれの時期における政策の重点は, 50年代半ばの全般的な自然保護,60年代初めの生物資源の保全,60年代後半から70年代の絶滅危惧種など野生生物種の保護,80年代以降の生物多様性 (特に遺伝資源)の保全と利用へと変遷し,各期には条約制定などの象徴となる動向のあったことが明らかとなった。
キーワード:
遺伝資源,国際自然保護連合,自然保護政策,生態系,生物多様性,絶滅危惧種