[pp.149-154]
大澤 啓志,黒田 貴綱,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
モリアオガエルの産卵時における樹林と水域が一体化した空間の特性を把握するため,全148個の泡巣について利用樹木と水面との関係を調べた。泡巣の高さは106~950cmの範囲にあり,平均は434cmであった。樹木毎に産卵数に多寡が見られ,常緑小高木のアセビ,落葉高木・中高木のコナラ,ウリカエデで産卵数が多かった。しかし,樹種や樹高よりも樹冠と水面の水平的な重なりが重要であると推察された。また,時期が遅くなるほど産卵部位は高くなることが示され,繁殖水域周囲には水面上に樹冠が掛る多様な高さの樹木が必要であると考えられた。
キーワード:
モリアオガエル,水域-樹林複合環境,泡巣,産卵部位