[pp.143-148]
角道 弘文 (香川大学)
要旨:
ため池の水生植物がトンボ目幼虫と甲虫目成虫の生息に及ぼす効果について分析した。水生植物の生育に違いがみられる9つの区画において,水生昆虫の出現状況,水生植物の生息状況,堆積物の堆積状況を把握した。環境要素を変数としてクラスター分析を行ったところ,トンボ目幼虫の生息,とくに個体数にとっては,アシカキの茎密度が高いことが有効であること,沈水植物や浮葉植物もトンボ目幼虫の生息場となりうること,甲虫目成虫の生息にとっては,カンガレイの茎密度が高いことが有効であること,池底の堆積物もトンボ目幼虫の生息場になっていることなどが推察された。
キーワード:
ため池,水生植物,トンボ目幼虫,甲虫目成虫,生息空間