[pp.137-142]
福田 夏子,下村 彰男,斎藤 馨 (東京大学)
要旨:
これまで林業被害の実態や防除に重点を置かれていたクマ剥ぎに関する既往知見を,単木レベル及び林分レベルにおいて,1)発生実態 2)発生要因 3)防除策について整理した結果,①クマ剥ぎは胸高直径が大きく成長のよい木,20~30年生林分で発生する傾向があること,②こうした木や林分でクマが摂取するとされる糖含量が増加すること,③巻き付けや忌避剤塗布,クマの捕獲などの対処療法的防除策が多く取られていることが分かった。発生しにくい施業方法の考案だけでなく,クマの生息環境として発生林分を評価するなどの,長期的防除のための研究が望まれる。
キーワード:
クマ剥ぎ,発生木,発生林分,防除策,森林の多様な機能