[pp.119-124]
黒田 貴綱,小島 仁志,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
草地の減少が著しい都市域において,広大な草地面積を有する河川敷は,治水・レクリエーション等の機能と併せ草地性生物の保全にも配慮した利用・管理が求められる。本研究では多摩川を事例対象地として草地性ネズミ類の生息状況を調査し,河川敷草地の保全について地域・地区スケールの両面から検討した。対象地に生息するアカネズミ,ハツカネズミの生息分布は河川敷の植生や草地の利用・管理状態と共に,周辺地域における緑地の存在や土地利用等の複合的な要因により規定されることが示唆された。カヤネズミの生息分布は営巣に必要な草本群落の規模と植生や管理状況に影響を受けており,人為的な草地管理の必要性が考えられた。
キーワード:
河川敷,草地,草地管理,多摩川,ネズミ類