[pp.565-570]
宮崎 浩之,柴崎 亮介,厳 網林,趙 之重 (東京大学,慶應義塾大学,青海大学)
要旨:
中国西部の青蔵高原では,過放牧の影響による土地劣化が地域社会に深刻な影響を与えており,その把握が急務である。本研究では,MODIS衛星画像から得られた時間分解能16日のデータセットと気象観測データセットを用いて放牧活動が植生に与える影響の推定手法を提案する。青海省馬多県に適用した結果,推定結果は,現地調査で確認した放牧地の利用現況と対応があり,劣化した放牧地,利用されている放牧地,保全されている土地が判別された。また,推定結果を,夏季放牧地,冬季放牧地で時系列に比較することで,それぞれの利用時期を推定することができた。以上から,本手法は,放牧地の現況の観測手法としての発展が期待される。
キーワード:
青蔵高原,放牧活動,多時期衛星画像,MODIS