[pp.547-552]
稲葉 佳之,厳 網林 (慶應義塾大学)
要旨:
本研究は,近年注目されつつある都市近郊地域における農地の粗放的転用について,神奈川県を対象として,空間的な分布の実態と発生要因をGISと統計手法を用いて明らかにすることを目的とする。結果,2000年以降,都市近傍の市街化調整区域で粗放的転用が増加しており,同地域における耕作放棄とは異なる分布がみられることが明らかになり,放出された農地が首都圏の空間的関係において粗放的転用と耕作放棄に分化することが示唆された。粗放的転用は,複雑な要因から発生しており,農家の衰退だけでなく都市近郊農業の特色である農業の集約化も要因として存在していることが明らかになった。
キーワード:
都市近郊地域,農地の粗放的転用,空間的分布,農地転用要因,重回帰分析