[pp.499-504]
田中 孝 (函館工業高等専門学校)
要旨:
湖面に浮かべた炭素繊維藻場は,湖沼の持つ自浄作用を利用した自然浄化法である。炭素繊維藻には,炭素繊維使用量の34.3倍の汚泥が付着した。炭素繊維付着汚泥の水質浄化作用は,回分水槽と大沼湖畔に設置した湖水循環水槽により測定した。その結果,炭素繊維藻の付着汚泥は生物膜として水質浄化効果を発揮した。測定期間中の最適湖水処理量は480L・kg-S-1・day-1,滞留時間は4.3時間であった。そして,懸濁物質の浄化速度は196 mg・kg-S-1・day-1,CODは98.4 mg・kg-S-1・day-1であった。水質改善材として炭素繊維は,付着汚泥に内包している栄養塩類により藻類を引き寄せる効果もあった。
キーワード:
自然浄化法,炭素繊維,生物膜,大沼