[pp.351-356]
大原 有理 (京都大学)
要旨:
オーフス条約9条の司法へのアクセスに関する条項と日本の関連する環境法制度を比較することで,日本の制度の抱える問題を明らかにし,その改善方法に示唆を与えることを目的とする。オーフス条約が環境権を市民が行使する権利としているのに対し,日本の法制度では環境権は行政府の保護管轄という構造になっている。こうした前提の違いから,日本では,特に司法へのアクセスが停滞している。日本の環境法制度は今後,現在の行政主導型からより民主的な市民中心の制度へ以降して行くべきであり,その為には環境権が権利として強調され,司法的救済の機会が拡大される必要がある。
キーワード:
オーフス条約,環境権,司法へのアクセス