[pp.321-326]
松下 京平 (京都大学)
要旨:
本研究は,ソーシャル・キャピタルが環境ガバナンスのパフォーマンスに与える影響の評価,およびその醸成メカニズムの解明を目的としたものである。分析時には,ソーシャル・キャピタルが無形資本であるがゆえに生じる観測上の困難さを考慮し,構造方程式モデリングと呼ばれる統計手法を用いた。分析の結果,ソーシャル・キャピタルが豊かな地区では,地域住民の協調行動が促されることで環境ガバナンスが効果的に推進されることが示された。また,ソーシャル・キャピタルは地域住民の協調行動を促すと同時に,その協調行動を通じて醸成されるという双方向因果の構造が存在することも明らかとなった。
キーワード:
ソーシャル・キャピタル,環境ガバナンス,醸成メカニズム,構造方程式モデリング