[pp.287-290]
井上 靖雄,山本 尚理,丸喜 勝,小西 淑人,柳沢 幸雄 (東京大学,東海大学,王子計測機器(株),(社)日本作業環境測定協会)
要旨:
位相差顕微鏡を用いたアスベスト繊維濃度測定法(PCM法)において,多視野観察が計数誤差に及ぼす影響を推計するためにモンテカルロシミュレーションを行った。濃度の異なる仮想的な標本を2,000視野まで観察する試行を繰り返し,計数の相対標準偏差(RSD)の変動を推計した。濃度によらず,300視野までは視野数の増加によってRSDは顕著に減少した。また,許容されるRSDが20%であるとすると,仮想標本上に繊維が均一に捕集されている場合であっても,一般大気環境レベルで定量限界を得るには300視野以上の観察が必要であった。これだけの多視野観察を実現するには,計数作業の自動化が必要であることが示唆された。
キーワード:
位相差顕微鏡,視野数,計数誤差,モンテカルロシミュレーション