[pp.239-244]
山崎 雅人 (上智大学)
要旨:
近年,日本から中国へ向けた鉄くずの輸出量が増加しており,鉄くず価格の上昇を引き起こしている。そのため鉄くずを主原料とし,粗鋼を生産する電炉メーカーは,生産コストの上昇に直面している。本稿では日中応用一般均衡モデルを用いて,国内における鉄くずリサイクルを維持するための2つの政策(電炉メーカーへの減税措置と鉄くずの輸出に対する課税)を比較検討する。分析により,電炉メーカーへの減税措置は鉄くずの国内価格を高騰させ,転炉などの鉄くずを用いる他の産業の生産コストを上昇させるのに対して,鉄くずの輸出に対する課税は国内の鉄くず価格を下落させ,鉄くずの利用コストを引き下げることが明らかとなった
キーワード:
日中間再生資源貿易,応用一般均衡モデル,鉄くずのリサイクル,国内リサイクル