[pp.175-180]
大平 充,西田 一也,満尾 世志人,角田 裕志,千賀 裕太郎 (東京農工大学)
要旨:
小流域の魚類の流程分布と環境条件の関係の把握を目的として,湧水を水源とする流程約2.5kmの水路で調査を行った。9月には上流にホトケドジョウ,アブラハヤ,下流にオイカワ,タモロコ,ギンブナという分布が確認された。主成分分析と相関分析の結果,分布に影響する要因として水温が挙げられた。ホトケドジョウ,アブラハヤは低水温帯,オイカワ,タモロコ,ギンブナは高水温帯に出現した。水温は上流から下流に向かって上昇しており,水温の選好性の違いが流程における魚類の分布に影響する可能性が示唆された。そして,水温条件は魚類群集の保全を行う上で考慮すべき事項であると考えられた。
キーワード:
魚類群集,流程分布,小流域,水温