[pp.157-162]
渡辺 一哉,中村 俊信 (京都大学,(有)自然環境設計)
要旨:
水路の護岸工事において,生態系配慮工法として施工された粗朶柵工・空石積み工の効果を,ゲンジボタルの生息状況から検討することを目的とした。ゲンジボタルの成虫の飛翔個体数を数えた結果では,2000年から2003年までで562.4%の増加率となっており,その大部分が生態系配慮区間内で確認された。産卵は約80%が粗朶柵工に産卵していた。さらに,70%が苔を産卵床として利用していた。幼虫の分布も年毎に拡散傾向を示したが,生態系配慮区間内での確認が多い傾向は変わらなかった。粗朶柵や空石積み工は,水際部から陸上部に移動することが容易であると考えられた。
キーワード:
生態系配慮工法,粗朶柵工,ゲンジボタル,生活史,カワニナ