[pp.115-120]
山本 直子,早川 誠而 (鳥取大学,山口大学)
要旨:
本研究では,強い上層寒気がゴビ砂漠付近の砂塵嵐の要因となって日本に黄砂をもたらすという仮説に基づき,エルニーニョ及びラニーニャ時の上層寒気の強さの違いと砂塵嵐と黄砂観測日数との関連を検討した。近年の春季の九州地方の黄砂観測日数はラニーニャ時には多くエルニーニョ時には少ない傾向があり,特にラニーニャの2006年とエルニーニョの2003年に顕著に現れた。モンゴルでは上層寒気が強く気温減率が大きい年ほど大気が不安定となり砂塵嵐が多くなる傾向があり,特にラニ-ニャ時の2006年春は強い上層寒気が何度も入り砂塵嵐が顕著であった。近年のモンゴルの砂塵嵐増加と2000年以降の日本の黄砂増加との関連が認められた
キーワード:
砂塵嵐,黄砂,エルニーニョ現象,ラニーニャ現象,上層寒気,気温減率