[pp.73-78]
村中 亮夫,中谷 友樹 (立命館大学)
要旨:
本稿では,京都を事例に災害発生から歴史的景観を復興する支払意思額の意識構造分析を行った。構造方程式モデリングによる分析の結果,1)歴史的景観の持つ文化や歴史,快適な環境を提供する機能を高く評価する者ほど景観喪失に対する自然災害リスクや景観価値を高く認識し,高いWTPが表明されること,2)京都固有の歴史や文化に基づく京都への帰属意識が京都市外居住者よりも市内居住者で高く,市内居住者で高いWTPが表明されること,3)所得がWTPに与える効果について,家計の支払能力を背景とした直接効果と,文化・歴史に対する知識量の多さに基づく歴史的景観の持つ外部経済に対する期待から高いWTPが表明される間接効果が存在することが示された。
キーワード:
歴史的景観,災害リスク,京都,支払意思額(WTP),構造方程式モデリング(SEM)