[pp.417-422]
林 希一郎 (名古屋大学)
要旨:
本稿では,英国を中心に,ドイツ,フランス,オランダで導入されている温暖化対策目的の環境税と既存エネルギー関連税との関係を分析した。この結果,第1に,各国の環境税は,気候変動税(英),鉱油税(1999 年以降増税分)と電気税(独),環境汚染事業総合税(仏),エネルギー税と燃料税(蘭)である。第2 に,英の炭化水素油税は環境税的役割を有する。第3 に,英ではビジネス部門を対象に気候変動税,排出権取引,自主協定の政策ミックスを行っているが,運輸,民生家庭部門は炭化水素油税の環境税的要素を活用している。わが国への示唆は既存税の歴史的変遷,役割などを再評価し環境配慮目的の税制を総合的に検討すべきことである。
キーワード:
環境税,温暖化対策,エネルギー税,英国,欧州