[pp.315-320]
真田 康弘 (神戸大学)
要旨:
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」採択に際して最重要論点の一つとなったのが,「海からの持込(Introduction from the Sea)」に関連する規定と付属書における鯨類の取り扱いであった。これらは鯨類の保護強化を目指す米国のイニシアティブによるものであり,当時最大の捕鯨国であった日本と鋭く対立した。そこで本小論では,制度的相互連関に関する議論を踏まえつつ,事実の経緯を辿るとともに,米国は極めて強く当該規定を推進した一方,結果としては国際捕鯨委員会の規定におおむね即するかたちで決着が図られたことを明らかとするものである。
キーワード:
ワシントン条約,海からの持込,国際捕鯨委員会,米国,日本